紹介予定派遣は派遣から正社員になれる制度ですが、利用者が100%正社員になれるわけではありません。
自動的に正社員になれるものだと思って利用すると、「話が違う、思っていたものと違うかった!」と後悔することに。
そこでこの記事では、紹介予定派遣の実態と、本当に正社員になれるのか、正社員になれる確率を実際に紹介予定派遣を利用して転職した私が紹介します。
この記事をご参考にしていただきますと、紹介予定派遣の実態や正社員になるために必要なことや心構えがわかります。
紹介予定派遣の実態はどうなのか?本当に正社員になれる?
紹介予定派遣は派遣として数ヶ月(3ヶ月〜6ヶ月の場合がほとんど)働き、派遣先の企業と派遣社員がお互い合意の元で、正社員になるという制度です。
私も紹介予定派遣の制度を利用して正社員になったので、本当に正社員になれるか?という問いに対しては「YES」と答えます。
紹介予定派遣で最終的に正社員になった人はどれくらいいるのか?という問いに対しては、
平成29年度 労働者派遣事業報告書の集計結果に詳細が書かれておりましたので、紹介いたします。
![]()
引用元 https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/000496801.pdf
によると、
紹介予定派遣により労働者派遣された労働者数 | 38,239人 |
紹介予定派遣で職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数 | 19,008人 |
紹介予定派遣から直接雇用に結びついた人の割合 | 19,008人/38,239人=49.7% |
です。
ポイントは「直接雇用に結びついた人」です。
直接雇用とは、正社員のことだけを指す言葉ではありません。
企業から派遣会社を通じてではなく、直接雇用されている状態、
- 正社員
- 契約社員
- アルバイト
上記はすべて「直接雇用に結びついた人」です。
つまり一定期間の派遣勤務の後、正社員にはなれずに契約社員もしくはアルバイトとして、派遣先の企業で働く可能性もあるということです。
それでは直接雇用に結びついた人から、正社員になっている人はどれくらいいるのでしょうか?
実際に正社員になれる確率は?
紹介予定派遣から正社員になれる確率については、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表している調査で、まとめられています。
正社員 | 57.8% |
契約社員 | 34.4% |
パート・アルバイト | 3.6% |
![]()
引用元 https://www.jil.go.jp/press/documents/20101222a.pdf
上記の「直接雇用に結びついた人」を思い出してください。
紹介予定派遣から直接雇用に結びついた人の割合は49.7%でした。
49.7% × 57.8% = 28.7%です。
つまり紹介予定派遣を利用した人の、約3割は実際に正社員になっているという計算です。
計算上は10人いたら3人が正社員になれるという回答ですが、紹介予定派遣はあくまでお互いに合意の上で正社員になるという制度であることを思い出してみてください。
企業側から「正社員として雇用したい」という申し出があったとしても、
派遣側が正社員になることを断るパターンの方が、企業側が断るパターンよりも多いです。
計算上は10人いたら3人が正社員になれるという統計は、派遣側が正社員になることを断るパターンを加味すると、実際には3割以上の可能性があるでしょう。
紹介予定派遣から正社員になれないのはなぜ?
まず前提として、紹介予定派遣を利用して途中入社の社員を取ろうとしている会社は、ほぼ正社員を取ろうとして紹介予定派遣を使っています。
私が紹介予定派遣で入った会社も、欠員が出たから人を採用する気だったので、私を派遣期間で判断して取りました。
派遣社員で仕事が回るなら、派遣社員をずっと使い続けますよね。
そこを正社員として採用するのですから、企業側も正社員として雇用するためのテストを派遣側に与えているようなものです。
そのテストとは、
- まじめにコツコツ与えられた仕事ができているか
- 無遅刻・無欠勤か
- 他の社員とうまくコミュニケーションが取れているか
- 挨拶がきちんとできているか
- 自分から積極的に仕事をしようとする心構えがあるか
など、言ってみれば「社会人として当たり前のことができているか」だけです。
社会人として当たり前のことができていれば、正社員になれない可能性は低くなります。
まず紹介予定派遣で派遣されている時点で、
- 年齢
- 性別
- 未経験
これらの条件に関しては、OKだという企業側の姿勢です。
通常派遣の場合、派遣先との事前面接はNGなのですが、紹介予定派遣は事前面接がOKです。
派遣先が面接で色々な質問をして、OKを出したからこそ派遣されるのであって、ダメな場合は何かを理由に落とされます。
落とされるのは年齢か性別か、もしくは経験が不足しているからかもしれません。
しかしそれらを不問にされるということは、企業側が正社員として考えていることの表れです(もちろん100%の確率ではありませんが)。
逆をいうと、紹介予定派遣の面接で企業側からOKが出なかった場合は、
- 年齢
- 性別
- 経験
において、何か不足している項目があるのか、条件が合わないと思われたのです。
紹介予定派遣は普通の社会人経験があれば利用すべき制度
紹介予定派遣で正社員になれる確率は計算上30%ですが、派遣側が正社員になることを断るパターンを加味すると、実際は50%程度の可能性があるでしょう。
でも転職活動で、面接ばかり受けても半分も受かることがあるでしょうか?
普通の人は落ちたり受かったり、いやどちらかというと落ちることの方が多いはず。
社会人として当たり前の行動を取れれば、数ヶ月派遣として働きながら自分に会うかどうかを見極められる紹介予定派遣の制度を、私は素晴らしいと思います。
さすがに40代、50代では派遣先とのマッチングがうまくいかないと採用が厳しいかもしれませんが、20代や30代で未経験職につきたい人でも、転職活動に失敗せず吟味できる紹介予定派遣という制度。
恩恵を受けた身としては、この素晴らしい制度を活用していただいて自分に合った仕事を探してほしいなと切に願います。